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初心者にも読みやすい夏目漱石のおすすめ作品5選

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こんにちは、『文人』です。


夏目漱石は日本近代文学を代表する文豪、そしてお札の顔にもなった国民的作家です。

読書を始めた人にとって、漱石作品は、一度は通る道。


しかし、読んでみると意外と難しいのです。


「難しそうなタイトルばかりで、どれを選んだらいいか分からない」

「とりあえず『吾輩は猫である』を手に取ってみたものの、挫折してしまった」


そんな人のために、初心者にも読みやすい夏目漱石の作品を5つ紹介します。

ちょっとした解説や読みどころも交えて紹介していますので、本選びの参考にして頂けるとうれしいです。

 

 

 

 

①損ばかりしてしまう愛すべき正直者―『坊っちゃん』―

 

 

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。

 

坊っちゃん』は、曲がったことが大嫌いな江戸っ子気質の主人公・「坊っちゃん」を描いた作品。


一人称小説という形を取り、「坊っちゃん」の歯切れの良い語り口が魅力です。

ハキハキとした口調の裏に、おかしみもあり、温かな人情味もあり……

まるで落語家の話芸を聴くように、物語に引き込まれてしまいます。


正直者がだまされて損をする世の中。

坊っちゃん」は、損な性分であることを自覚しながら、あくまでも義理人情を押し通すのです。

とても親しみやすい人情物語なので、漱石作品を最初に手に取るなら、『坊っちゃん』がおすすめです。


坊っちゃん』の舞台は、愛媛県松山市

明治28年、漱石は教師として松山中学に赴任しています。

その頃の体験が、名作『坊っちゃん』を生みました。


愛媛県松山市道後温泉や、名物の団子も、作中に登場しています。

本を携えて、聖地巡礼をする愉しみもありますよ。

 

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漱石の無意識領域を覗きこむ―『夢十夜』―

 

 

「百年、わたくしの墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」

 

夢十夜』は、全10話の短編小説。

「こんな夢を見た」

という書き出しで始まり、不思議な夢の場面が次々に展開されていきます。


死んだ女を、墓のそばで100年待つ約束をする「第一夜」。

御前がおれを殺した――背負った我が子が不気味に語りかけてくる「第三夜」。


などなど、不安や恐怖が入り混じったゾクゾクする話が魅力です。


漱石は、謎の夢を謎のまま読者に提示するという斬新な手法で、無意識の世界を小説にしました。

ロンドン留学の体験、女性、近代化に対する不安……

漱石自身の心の闇が、小説に色濃く反映されています。


一編が短いので、スキマ時間に読書をしたい人におすすめです。

短いながらも、漱石の世界観を濃密に味わうことができますよ。

 

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③平凡すぎる明治青年の青春生活―『三四郎』―

 

 

「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」

 

三四郎』は、田舎から上京してきた大学生・「三四郎」の青春を描いた小説です。


漱石作品の中でも断トツに平凡な主人公・「三四郎」。

都会の美しい娘に恋をするものの、それ以上の関係には踏み込めない。

あまり意志がなく、周りの個性豊かな登場人物たちに振りまわされる日々。

特別な事件に巻き込まれるわけでもない。


そんな本作の魅力は、情景描写の美しさ。

繊細な情緒ただよう文章から、明治時代の東京の空気を味わうことができます。


新しい鉄道が走る街並みの活気。

元気な学生たちや、都会風に進歩した女性たち。

明治時代の情緒を感じさせる風物。

平凡な主人公・「三四郎」と一体になって、小説の世界を鮮やかに体験することができるのです。


本作は新聞小説として、明治41年9月1日~12月29日まで、朝日新聞に連載されました。

漱石は、作中の時期を連載時期と合わせて、秋から冬にかけての風物詩を盛り込んだり、当時に実在していた人物を登場させたりしています。

現実とリンクさせることで、読者を小説世界に引き込んだのです。


三四郎』は、ゆったりと読書を愉しみ、小説の世界にどっぷり浸かりたい人におすすめです。

 

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④人と関われなくなった「先生」の告白―『こころ』―

 

 

人間を愛し得る人、愛せずにはいられない人、それでいて自分のふところに入ろうとするものを、手をひろげて抱き締める事の出来ない人、――これが先生であった。

 

『こころ』は、漱石晩年の名作。

「上 先生と私」

「中 両親と私」

「下 先生と遺書」

の三部構成で書かれた長編小説です。


ちなみに国語の教科書によく載っている『こころ』は、「下 先生と遺書」の抜粋です。

始めから終わりまで通読すると、『こころ』が人生の難しいテーマを扱った小説であることが分かります。


他人をまるごと愛することができない孤独。

そうでありながら、他人に多くを求めてしまう欲望。

恋をすることは罪悪なのか。

およそ誰もが心の奥底に抱えている苦しみ、痛み、自己嫌悪などが、「先生」という人物を通して描かれています。


人間を深く知るなら、ぜひ読んでおきたい名作ですね。

 

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⑤生活苦をつづった自伝的作品―『道草』―

 

 

「又金を取られるんだ。人さえ来れば金を取られるにきまってるから厭だ」

 

『道草』は、漱石の生活が色濃く反映された自伝的作品。


幼い頃に養子に出された経験。

海外留学を経て大学教師になった境遇。

ヒステリー症の妻との、ぎくしゃくした夫婦生活。

まるで漱石自身の生活を思わせるような内容となっており、細部の描写が生き生きとしています。


本作の最大の事件は、絶縁状態にあった養父が現れ、金をせびりに来ること。

遠回しに断っても、養父は足しげく家を訪ねてくる。

金に困った養父は、援助を受けるまで、しつこく食らいついてきます。


養父だけでなく、養母も、親戚も、金の無心に来る。

訪ねてくる客の目的は、金ばかり。

そんな生々しい生活苦を、どこか面白おかしく描いているところが魅力です。


「金」「夫婦生活」など、分かりやすいテーマを扱った本作。

人間の嫌なところ、ずるいところが露骨に描かれているのも面白いです。

 

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おわりに

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100年以上前の夏目漱石が、現代でも読まれ親しまれているのはなぜでしょうか?

その理由のひとつは、漱石の言葉遣いにあると思います。


漱石は、口語体で作品を書きました。

漱石の文体は、私たちが普通に使っている話し言葉であり、現代の国語で習う文章そのものです。

いわば、現代文のお手本なのです。


漱石の端正な文体に触れていると、懐かしく、温かい気持ちになります。

まるで私たちの心の綾を上手に言語化してくれたような、

「心打たれる表現」

に出会うことができるのです。


この記事を最後まで読んでくださったあなたも、ぜひ漱石作品を手に取ってみてください。

きっと素敵な言葉に出会えますよ。

 

 

 

 

 

 

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