「坊っちゃん」とはどんな人?―夏目漱石『坊っちゃん』の魅力―
こんにちは、『文人』です。
夏目漱石の『坊っちゃん』は、近代文学の名作として今でも広く読まれています。
実際に読んだことはなくても、
「『坊っちゃん』? 名前だけなら知ってるよ」
という人も多いのではないでしょうか。
夏目漱石の代表作である『坊っちゃん』は、とても読みやすいので、読書を始めたばかりの人にもおすすめです。
今回は、そんな『坊っちゃん』の内容と魅力をわかりやすく紹介していきます。
『坊っちゃん』とは?
- 作者は夏目漱石(1867-1916)
明治から大正にかけて活躍した、近代文学を代表する文豪です。 - 『坊っちゃん』の発表は、明治39年(1906)。
処女作『吾輩は猫である』に次ぐ、2作目の小説です。 - 夏目漱石は明治28年(1895)28歳の時、愛媛県の松山中学の教諭として就任しています。
当時の体験が、『坊っちゃん』執筆の背景になっています。
『坊っちゃん』の魅力
①主人公「坊っちゃん」の人柄
主人公の「坊っちゃん」は、正直者で、曲がったことが大嫌いです。
乱暴者で、喧嘩好き。
嫌いな人間とはすぐに衝突してしまいます。
せっかちで、思い立ったらすぐに行動、何でもその場で決めてしまう性格です。
この冒頭の有名な一文にある通り、「坊っちゃん」が引き起こすさまざまな事件はすべて「親譲りの無鉄砲」のせい。
その結果、「損ばかりしている」のが「坊っちゃん」なんです。
②社会は敵ばかり
この作品の面白いところは、新米教師として社会に出た「坊っちゃん」がさまざまなトラブルに巻き込まれ、嫌な人間たちとぶつかっていくところです。
赴任した中学には、「坊っちゃん」の嫌いなタイプの連中ばかりいたのです。
○中学の生徒たち
「坊っちゃん」に何度もいたずらを仕掛けてきます。
誰がやったのかと問い詰めても、「知らんがな」と言い逃れをします。
自分のやったことを認めず、罰を逃れようとする卑怯な人間が、「坊っちゃん」は嫌いです。
○画学教師「野だいこ」
教頭「赤シャツ」にべったり付き従い、機嫌をとっている人物。
「坊っちゃん」を見ながら、聞えよがしに悪口を言ったり、からかったりします。
でも、にらみつけると、恐る恐る引っ込む。
正面から向き合わず、喧嘩のできない人間が、「坊っちゃん」は嫌いです。
○教頭「赤シャツ」
高い教育を受けたエリート意識の塊。
悪知恵があり、器用に立ちまわります。
「坊っちゃん」にいろいろなことを吹き込んで、だましたり、操ったりします。
口がうまく、常に逃げ道を用意しているので、口論では勝てません。
この「赤シャツ」こそ、「坊っちゃん」の天敵です。
「坊っちゃん」はこのような人間たちと衝突を繰り返し、わずか1か月ほどで教師を辞めることになってしまいます。
③「坊っちゃん」の損
「坊っちゃん」の損は、嫌いな人間を見て見ぬ振りができないこと。
その結果、衝突を繰り返し、不利な立場に追われてしまいます。
「坊っちゃん」がぶつかるのは、悪知恵があり、口がうまく、社会で器用に立ちまわっている人間たちです。
権力があったり、後ろ盾があったり、逃げ道を持っていたりします。
もちろん、ぶつかっても正面から相手をしてくれる人たちではありません。
となれば、腕力に訴えるしかない。
相手を殴って成敗しますが、教師を辞めて退散するという後味悪い結果になってしまいます。
④下女・清の愛情
「坊っちゃん」は人間関係で損をすることが多く、どちらかといえば嫌われ者です。
しかし「坊っちゃん」の正直な人柄を気に入り、慕ってくれる人間がそばにいます。
それが下女の清。
「坊っちゃん」の家のお手伝いのお婆さんです。
清はそう言ってほめてくれます。
いつでも「坊っちゃん」の味方なんです。
「坊っちゃん」と清はお互いに信頼し合っています。
社会に揉まれても、自分を曲げず、正直に生きる「坊っちゃん」。
それは清の信頼を裏切らないためでもあるでしょう。
最初から損は承知の上なんですね。
おわりに
夏目漱石の名作小説『坊っちゃん』のあらすじと魅力を紹介しました。いかがだったでしょうか?
「坊っちゃん」の生き方はとてもシンプルです。
自分にも他人にも嘘をつかない。
自分のやったことには責任を持つ。
悪いことをしたと感じたら反省する。
なぜそうしなければならないのか、ということは考えません。
そうするのが人間だからです。
たとえ社会で損をしても、周りの大切な人から信頼される生き方をする。
夏目漱石『坊っちゃん』には、そんな「坊っちゃん」の人間味あふれる魅力が詰まっています。
まだ読んだことのない人は、ぜひ手に取ってみてください。
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