【国語辞典】広辞苑を半年使い続けて気づいた5つのこと
こんにちは、『文人』です。
『広辞苑』は、国語辞典の代表格。
「国民的辞典」といわれるほど広く普及し、親しまれている国語辞典です。
ブログ、SNS、小説、俳句、作詞など……
言葉を活用する者にとって、国語辞典は必須のツール。
私は文章を書くとき、ネット上の無料で使える国語辞典を利用していたのですが、あまりにも利用頻度が多いので、
「どうせなら手元に1冊欲しいな」
と思い、紙の『広辞苑』を購入しました。
それから半年。
この記事では、紙の『広辞苑』を使い続けて気づいたことを5つにまとめて紹介していきたいと思います。
どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです!
目次
①辞書を引く習慣が身についた
「国語辞典、買おうかな」
ふと思い立ったものの、実際に購入するまでにはちょっとハードルがありました。
紙の国語辞典は値段が張るし……
そもそもネットを使えば無料で調べられるし、買う意味あるのか……?
いや、これは投資、自分への投資だ。
名だたる作家たちも国語辞典を持っていたじゃないか。
逆に今だからこそ、持っていると何か格好いいし、アピールできるのでは……!
などと、あれこれ悩んだ末に、『広辞苑』を購入。
『広辞苑』本体と、付録の冊子で、なかなかの分厚さと量感です。
実物を一目見たときには興奮しました。
さて、せっかく買ったのだから、元を取るためにも使い倒してやろう。
ということで、『広辞苑』をめくる日々が始まりました。
読書をしていて、気になる言葉に出くわしたら、引いてみる。
テレビを観ていて、気になる人名や地名が出てきたら、引いてみる。
夜寝る前に、人から聞いた言葉を思い返して、引いてみる。
知らない言葉も、一応は知っている言葉も、とりあえず引いてみる。
『広辞苑』は「国語+百科」辞典というだけあって、収録語が多種多様。
何でも引いてみたくなります。
そんなふうに使い続けているうちに、辞書を引く習慣が身についてきました。
紙の辞書は、ページをめくって言葉を探さなければならないので、ネット検索するよりも手間です。
ましてや『広辞苑』は分厚いし、重いし、ページをめくるのも疲れる。
しかし、その手間をあえて行うことで、身体が覚え、習慣化していきます。
今では書き物をしているとき、言葉を調べようと思ったら、無意識に『広辞苑』を手に取ってしまうほどです。
ネット検索は便利ですが、なかなか辞書を使う習慣はつきません。
こまめに辞書を引く習慣が身についたのは、手間を惜しまず、紙の辞書を用いるようになったお陰だと思っています。
②実は広辞苑は読み物だった
紙の辞書の特色。
それは、ページをめくり、目的の言葉を探さなければならないこと。
さながら膨大な言葉の森へと踏み入り、茂みを掻き分け、目的の木を探すように。
目的の言葉へたどり着くまでに、さまざまな言葉が目に飛び込んできます。
気になる言葉が目についたら、ちょっと寄り道。
ページをめくる手を止めて、その項目を読んでみる。
紙の辞書を使っていると、本来の目的を忘れて、つい他の言葉へ目移りしがちです。
たとえば、「目移り」を引くと、見開きのページには、
「メーデー【May Day】」
「めおに【女鬼・目鬼】」
「めがたき【女敵・妻敵】」
などの語があり、つい興味を引かれて読んでしまいます。
『広辞苑』は、古語や固有名詞も豊富です。
ページをめくっていると、さまざまな言葉との出会いがあり、目的を忘れて読みふけってしまう面白さがあります。
③「へえ……」という発見がある
机の脇に『広辞苑』があると、とりあえず何か引いてみたくなります。
そこで、普段から当たり前のように使っている言葉や、知っているつもりの言葉を改めて引いてみる。
すると、「へえ……」と感じることが意外にも多いのです。
その言葉を誤用していたことに気づかされたり。
もっといろいろな意味や使い方があったり。
辞書を引いてみると、多くの発見と学びがあります。
たとえば、あなたは「神」という言葉をどう説明しますか?
『広辞苑』の語釈は次のようになっています。
かみ【神】
①人間を超越した威力を持つ、かくれた存在。人知ではかることのできない能力を持ち、人類に禍福を降すと考えられる威霊。人間が畏怖し、また信仰の対象とするもの。
②日本の神話に登場する人格神。
③最高の支配者。天皇。
④神社などに奉祀される霊。
⑤人間に危害を及ぼし、怖れられているもの。
㋐雷。
㋑虎・狼・蛇など。
⑥キリスト教やイスラム教などの一神教で、宇宙と人類を創造して世界の運行を司る、全知全能の絶対者。
『広辞苑 第七版』(新村 出/編 岩波書房)より引用
『広辞苑』によれば、「神」とは、人知を超えたもの、『古事記』などの日本神話の登場人物、かつての天皇、神社などにお祀りされているもの、キリスト教やイスラム教などの一神教の絶対者。
さらには、雷や、ふつうの虎や狼や蛇なども、大昔の人は「神」と呼んでいたらしい。
こんなにもさまざまな「神」がいる国は、日本くらいでしょう。
言葉は時代とともに変化している生き物です。
現代の意味にとらわれず、言葉を広く深く理解することで、世界の見方が変わってきます。
言葉の表現の幅も広がっていきます。
④語源を知ると、語彙力が上がる
『広辞苑』は、語源や、言葉本来の古い語釈も載っています。
古今の言葉の移り変わりを大事にしているのです。
現代の意味から古い意味へとさかのぼり、語源を尋ねることこそ、『広辞苑』の醍醐味。
たとえば、「生きる」という言葉を『広辞苑』で引いてみると、
「『息』と同源」
と載っています。
つまり、「生きる」と「息」は、同じ語源なのです。
大昔の人は、息をすることこそ生命活動の根幹と考えたのでしょう。
生きること、すなわち、息をすること。
「息づく」という表現は、その場所で生きていることをよく表しています。
また、「春の息吹き」と表現すれば、春になって自然界の生命活動が活発になる様子がありありと伝わってきます。
語源を知ると、言葉と言葉がつながります。
言葉の理解が深まり、言葉が活用しやすくなり、より繊細で的確な表現ができるようになります。
語彙力が上がり、言葉を活用するのが楽しくなってくるのです。
⑤言葉が愛おしくなった
『広辞苑』には、古語も豊富に載っています。
古語とは、今は用いられていない古い言葉のこと。
なぜそんな古い言葉まで収録しているのか?
それは古人が言葉をどのように用い、どのように言葉と関わってきたか、ということを現代に伝えるためです。
この古語が含まれているために、『広辞苑』の収録語は実に膨大です。
たとえば、「思い」という語のページを開き、めくっていくと、
「おもいあう【思い合う】」
「おもいうつる【思い移る】」
「おもいしむ【思い染む】」
「おもいたゆ【思い絶ゆ】」
など、「思」を含む語が、なんと200項目以上!
ずらりと並んでいて壮観です。
古代から現代まで、人はさまざまなことを思い巡らしながら生きてきました。
言葉とは、人の思いそのもの。
『広辞苑』の分厚さと重みは、時代を越えて紡がれてきた人々の思いの集大成なのです。
人はみずからの思いを他者へ伝えるため、また後世へ伝えるため、さまざまな言葉を生み、記録してきました。
その営みを知れば知るほど、言葉が愛おしくなります。
まとめ
国語辞典は、言葉を活用するためにこそあります。
特に『広辞苑』は、古い語釈や語源も載っており、言葉を深く理解することができます。
また、古語や固有名詞も豊富なので、引くのが楽しく、読み物としても味わい深い国語辞典です。
- 言葉を吟味し、より良い表現を探し求めたい人。
- 語彙力を上げたい人。
- 国語辞典に興味があり、とりあえず1冊欲しい人。
そんな人には、『広辞苑』がおすすめです。
私にとっては大きな買い物でしたが、今では文章を書くときに重宝しているので、個人的に満足でした。
これからも『広辞苑』を愛用していこうと思います。
もし国語辞典に迷っているのであれば、『広辞苑』を選んでみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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