こんにちは、『文人』です。
読書が好きでやめられない。
本とともに生き、本に囲まれて生活する。
家でも外でも読書。
世の中にはこのような読書好きの人種がひっそりと生息しています。
この人たちは本ばかり読んで、人間には興味がないのか。
いや、そうではありません。
読書好きはふつうよりも孤独を感じやすい人たちです。
今回はそんな読書好きが孤独を感じる瞬間を、5つに絞って語ってみたいと思います。
同じ読書好きの人に共感してもらえるとうれしいです。
①「おすすめの本は何?」と尋ねられ
「読書が好きです」
「へ~、おすすめの本はありますか?」
初対面や知り合ったばかりの人と話すとき、こういうやりとりがよくあります。
「おすすめの本は何?」
と尋ねられたとき、自分なりにおもしろかった本を挙げてみる。
でも相手の反応はイマイチ。
本の話を聞いてくれるのはうれしいけれど、読む気がないのが伝わってきてしまう。
そういうとき、読書好きとしては寂しい気持ちになります。
知らない人に本の内容をわかりやすく、おもしろく伝えるのはむずかしい。
また、知らない本について熱く語られても、たいていの人は引いてしまうものです。
話が盛り上がることはまずありません。
動画や音楽のように気軽にシェアできないのです。
「この前おすすめしてくれた本、読んだよ」
などという言葉をひそかに期待してしまうのですが……。
②意外と読んでいない
「やあ、久しぶり」
「久しぶり。最近、何読んだ?」
これは読書好き同士のやりとりです。
顔を合わせるとさっそく本の話になります。
お互いに最近読んだ本のタイトルを出し合いますが、
「あれ? 知らない」
「それ、読んだことない」
という場合がほとんど。
いかに読書好き同士といえど、共通して読んでいる本というのは意外とないのです。
これは読書好き同士のあるあるではないでしょうか。
「名作なのに読んでないの?」
などとは仮に思ったとしても口には出せません。
名作は数えきれないほどあるのですから、一生かかっても読み切れるものではないのです。
読書好きは、自分の興味のある本を気ままに読んでいるだけ。
だから読んだ本がかぶることはあまりないんですよね。
読書好き同士でさえ、同じ本の話で盛り上がることがほとんどない。
同類だけど、考えてみれば、実は同士ではない。
お互いに孤独を抱えながら付き合っています。
③タイプが違う
Aさん
「多いときは1日10冊、年間で200冊読んでます。蔵書は2000冊」
Bさん
「好きな作家は、夏目漱石、森鴎外、太宰治、谷崎潤一郎……」
Cさん
「大学生で読書を始め、速読法をマスター。知識やビジネスのノウハウをわかりやすく伝えるのが得意です」
Dさん
「趣味は読書とカフェ巡り。休日は文庫本を携えて散歩をします」
このように、読書好きといっても個人差が激しいです。
読書歴、本の好み、読み方は人それぞれ。
各々が異なるポリシーを持っているので、ひとくくりにはできません。
読書好きを公言する人とつながるとき、分かり合えないところもあるのです。
速読派と遅読派は相性が悪かったり、ゴリゴリの文学マニアとふつうの小説好きは温度差があったり……
読書は孤独な営みなのだな、とつくづく感じます。
ちなみに私『文人』は、文学が好きです。
昔の作家をよく読みますが、最近の作家はほとんど読んでいません。
直木賞・芥川賞の候補がニュースになっても、知らない作家ばかり。
ノーベル文学賞が発表されたときも、「この人は知らないな……」という場合がほとんど。
読書好きといっても、そんなものです。
④読書会?
読書好きの人たちがお気に入りの本を持ち寄って、存分に語り合う。
同じ本を参加者みんなで読み、意見や感想を伝え合う。
そういう読書会が巷で静かな盛り上がりをみせているようです。
その存在は知っていても、実は一度も参加したことがない、という読書好きは少なくありません。
私もそのひとりです。
でも気にはなっていて、ネットで検索したり、ホームページを確認したり、ということはしていました。
しかし何となく抵抗があって、参加に踏み切れない。
「婚活。友達づくり。うーん……」
でも人の多いところは苦手。
何だかまぶしく感じられてしまう。
読書会のことを耳にするとき、
「自分には向いていないな」
と遠慮してしまいがちです。
読書好きのなかには、孤独癖がついている人もきっといるはず。
⑤本さえあれば生きていける
読書好きの人間はふだんから独りで過ごすことが多いです。
同年代の人たちが友人や恋人と遊びに出かけるのを尻目に、神保町へ向かい、本屋をまわりながら一心不乱に本を探す。
お金もあまり使わず、休日は自宅にこもって読書三昧。
自分だけの時間がとにかく心地いい。
自分は本さえあれば生きていける。
そう言葉にしてしまった時、言いようのない孤独を感じます。
果たしてそんな人生で良いのだろうか?
本との出会いに夢中になるあまり、現実の人との出会い、大切な人と過ごす時間を後回しにしていないか?
本を読めば読むほど、人生には本よりも大事なものがあることに気づかされます。
これは読書好きのジレンマですね。
おわりに
私の愛読書のひとつ、『星の王子さま』(サンテグジュペリ/著 池澤夏樹/訳 集英社文庫)の一節を紹介します。
「夜、星を見てほしい。ぼくの星はとっても小さいから、どこを探せばいいか指さしては教えられない。その方がいいんだ。ぼくの星はたくさんの星の中に混じっている。だから、きみはどの星のことも好きになる……ぜんぶの星がきみの友だちになる。ぼくはきみに贈り物をあげたい……」
『星の王子さま』(サンテグジュペリ/著 池澤夏樹/訳 集英社文庫)より
本が好きというのは、人間が好きというのと同じこと。
読書好きの人は、本を読みながら、人間の温かさに触れています。
本は言葉の世界です。
言葉で伝えられることには限界があるので、私たちは想像力で補います。
読書好きの人は、想像力を大切にします。
本を読み、想像力を働かせることで、出会ったことのない世界中の人、昔の時代の人、フィクションの世界の人、そういう人たちとのつながりを感じることができます。
孤独を感じる時もあるけれど、国や時代を越えていろいろな人たちと言葉でつながっている感覚が確かにある。
そんなふうに感じられるのが、読書の魅力ではないでしょうか。
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