【文章力とは?】書く前に知っておきたい3つの基礎を徹底解説
こんにちは、『文人』です。
私たちは普段から文章に接する機会がとても多いですよね。
SNSやブログ。
周りの人とのラインやメールのやりとり。
人とのつながりが広がれば広がるほど、文章力が必要になってきます。
相手に自分のことを理解してもらいたいなら、なおのこと。
「でも、文章力って何だろう?」
と疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、文章力とは何かを理解するために、「文章を書く前に知っておきたい3つの基礎について」わかりやすく解説していきます。
良い文章を書くためにも知っておいて損はない内容となっていますので、どうか最後までお付き合いください。
はじめに――読者の気持ちを知る
文章はいざ書くとなると、相当やっかいです。
「時間をかけても、内容が全然まとまらない。イライラする!」
「書いた文章が相手に伝わっていない。どうして?」
「そんなつもりで書いたわけじゃないのに、地雷を踏んでしまった……」
文章を書くとき、誰もが経験する失敗ですよね。
このような失敗をしてしまう最大の原因は、読者の気持ちを想像できていないことです。
文章を書くことは、読者とのコミュニケーション。
自分の書きたいことを闇雲に書こうとしても、構成がちぐはぐになり、文章はまとまりません。
せっかく書いた文章が十分に伝わらず、最悪の場合、相手の怒りに火をつけてしまうことだってあり得るのです。
良い文章を書くためには、まず何より読者の気持ちを知ることが大切。
作家・谷崎潤一郎の名著に『文章読本』という本があります。
これは谷崎潤一郎が文章を書くことについて解説している本です。
『文章読本』の序文にはこんな言葉があります。
「云わばこの書は、『われわれ日本人が日本語の文章を書く心得』を記したのである」
つまり谷崎潤一郎はこの本の中で、一般向けに文章の書き方について説いているのです。
『文章読本』の締めくくりは次のようになっています。
以上、私は、文章道の全般にわたり、極めて根本の事項だけを一と通り説明致しましたが、枝葉末節の技巧について殊更申し上げませんのは、申し上げても益がないことを信ずるが故でありまして、もし皆さんが感覚の錬磨を怠らなければ、教わらずとも次第に会得されるようになる、それを私は望むのであります。
『文章読本』(谷崎潤一郎/著 中公文庫)より引用
要するに、「文章は感覚で身につけなさい」ということ。
「理論よりも感覚が大事と言われたら、センスがない人間はどうしたらいいんだ!」
と地団駄を踏みたくなりますよね。
でも実際、文章は読者のために書くものですから、理論より感覚なのです。
いくらコツやノウハウを覚えても、付け焼刃に過ぎません。
「誰に向けて書くのか」を明確にして、その人の気持ちを想像しながら、自分の言葉で書くしかないのです。
谷崎潤一郎は『文章読本』のなかで、書き方のコツやノウハウのようなことにはあまり触れていません。
さまざまな名文を引用しながら、それぞれの文章の良さを丁寧に読み解いています。
「書き方の前に、まずは読み方。名文を丁寧に読んで味わいなさい」
と谷崎は言外にそう説いているように見えます。
『文章読本』は、文章を学ぼうとする私たちに、
「感覚の錬磨」
つまり優れた読み手になり、「読者の気持ちを知りなさい」と教えているのです。
読者の目線になり、読みやすく、わかりやすく書くこと。
そのために自分自身の読む感覚を磨くこと。
それが良い文章を書くために最低限必要なことです。
文章力とは具体的に何のこと?
「文章力」という言葉、日常的に聞いたり使ったりすることは多いと思います。
では「文章力」とは具体的に何のことでしょうか?
ごくかんたんに定義するなら、「文章を書く力」といえます。
しかし、前に述べたように、ただ文章を書くだけでは不十分。
自分の書きたいことを書き散らすだけでは、内容がまとまらず、相手にとって読みづらい文章になってしまいます。
そこで、「文章力」を3つの力に分けて考えてみましょう。
- ①書く力
- ②整える力
- ③伝える力
この3つの力が、「文章力」の基礎です。
どれほど語彙を増やし、レトリック(美しい言い回し)を工夫し、文章のトレーニングを積んだとしても、上に挙げた3つの基礎がおろそかになってしまったら、文章の上達はあり得ません。
では、3つの基礎について、それぞれ詳しく解説していきます。
基礎① 書く力
まず書かないことには始まりませんよね。
しかし、書きたいことがすらすら書けるなら、誰も苦労しません。
文章を書くときに一番困るのが、何を書いたらいいのかわからないことです。
「なぜ書けないのか?」
文章を書くとき、この段階でつまづいてしまうことがあります。
どんなに文章を書き慣れている人でも、やはり書けないときは書けないのです。
書き方のコツやノウハウを覚えたり、書こうとしているテーマについて本やネットで調べたりしても、残念ながら楽に書けるようにはなりません。
自分の頭で考え、掘り下げ、自分なりの言葉で表現しなければ、文章はなかなか書けないものです。
書く段階では、まず自分自身と向き合うことが大切です。
具体的な方法としては、「なぜ?」と自分に問いかける癖をつけましょう。
子供はわからないことがあったり、親に注意されたりすると、
「なんで? なんで?」
と疑問符を連発しますよね。
その「なんで?」を自分自身に向けながら書き進めていくのです。
「なぜ?」という問いを繰り返すことで、考えが掘り下げられ、書きたいことが自分の中から出てきます。
「書く力」を磨くためには、自分自身と向き合い、考えを深めていく作業が必要なのです。
基礎② 整える力
文章は書き上げたら完成ではありません。
読める文章になっているかどうか、必ず見直しをします。
客観的に見て、読みやすく、わかりやすいように文章を整える。
この「整える力」が、文章力の肝です。
文章が整っているかどうか。
それが一般的には、「読みやすいか読みづらいか」、「上手か下手か」といった評価の分かれ目になります。
もし他人の文章を見たとき、漢字ばかりで、改行がなく、「、」の位置が不自然で、構成がでたらめな文章だったら、どうでしょうか?
読むのが嫌になってしまいますよね。
文章を整えるために気をつけたいのは、「つながり」です。
「言葉のつながり」
「文のつながり」
「意味のつながり」
書いた文章を見直すとき、そのような「つながり」に注意してみてください。
文章を整えることは、一種の礼儀作法です。
整った文章は「つながり」がきれいで、見た目にも美しいです。
書き上げた文章を見直すときは、ゆっくり読んでみましょう。
声に出して、相手に読み聞かせるつもりで読むのがおすすめです。
チェックポイントとしては、
- 読んでいてつっかえるところはないか
- 意味が伝わるか不安なところはないか
- 言葉の使い方は合っているか、他に良い表現はないか
- 説明不足のところはないか
- 始めと終わりで、話が食い違っていないか
などに注意しながら見直しをすると良いでしょう。
「整える力」は、「読む力」でもあります。
言葉の感覚を磨き、丁寧に読んで味わう。
それが文章を整えることにも通じるのです。
基礎③ 伝える力
文章には伝えるという重要な役割があります。
せっかく書いた文章が、相手の心に響かなかったらどうでしょうか?
きっと良い反応はもらえないでしょう。
そもそも文章を書く目的は、特定の相手から良い反応をもらうこと。
どうしても相手に読んでほしい。
そして相手の心を動かしたい。
この目的を達成するためには、「伝える力」を磨く必要があります。
伝える文章を書くためのポイントは、「目的に応じて書き方を工夫すること」です。
これには技巧が必要になります。
たとえば、「新聞記事」の場合、
目的:正確な情報を伝える
工夫:「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」したのか、誤解のないように書く
というふうに、目的に応じた工夫が必要です。
文章を書くとき、誰でも多少は伝えることを意識しているはずです。
しかし、ただ何となく意識しているだけでは、人の心を動かすことはできません。
伝える文章を書くには、明確な目的と、それに応じた工夫が必要なのです。
実際のところ、伝える文章を書くのは本当にむずかしいです。
読み飛ばされてしまったり、誤読されたり、理解してもらえなかったりするものです。
それでも、伝えるために書かれた文章は、何かしら読者の心を打ちます。
たくさんの人に向けて書いたのであれば、一握りの人に伝わるでしょう。
文章を書くことが報われるのは、読者の心を動かしたときです。
まとめ
文章を書くうえで大切なのは、
- 書く力
- 整える力
- 伝える力
この3つの基礎です。
「文章力」は何気なく使われる言葉ですが、かなり意味があいまいです。
「文章力」の意味を深く考えず、はきちがえてしまうと、どれだけ文章のトレーニングを積んだところで上達はあり得ません。
文章を書くためには、自分と向き合ったり、考えを深めたり、言葉を吟味したりする訓練が必要になります。
文章力を磨くことは、まさにことわざにある通り、「急がば回れ」。
本を読んだり、さまざまな相手と話したり、経験を積んだり、物事を深く考えたり。
そのような生活習慣を身につけるのが、遠回りのようで、実は文章を書くことにつながる安全確実な道なのです。
🔎おすすめの本
「文章がうまくなりたい!」と考え、本を探していたとき、出会ったのがこの本。
文章の書き方を説いた本ですが、読み物としても面白いです。
「一 文章とは何か」の章では、いわゆる名文が紹介され、読み方のポイントがわかりやすく解説されています。
文章を書くなら、まずは読む力を磨く。
そのことに気づかせてくれた名著です。
書くことに興味のある人ならぜひ手に取ってみてください!
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